そばの散歩道

めんの数字あれこれ

一番粉

一般に、そば粉は一番粉、二番粉、三番粉、そして挽ひきぐるみの四種類の粉に分けられる。この一番から三番までの数字は玄ソバ(殻わらのついたままのソバの実)を製粉した時に粉になる順番を表しているが、それぞれの粉は含まれる栄養成分も違う。

ソバの実は外側から中心部に向かって、殻、甘皮(種皮)、胚乳はいにゅう、胚芽はいが(子葉)という構造になっているが、殻を取り除いて石臼などで製粉すると、外側からではなく中心部のほうから粉になっていく。最初に挽き出されるのは、柔らかくて粉になりやすい胚乳の中心部で、これが一番粉である。でんぷんが主体の白い粉だ。この粉をさらしな粉と称することもあるが、厳密にはより純度の高い一番粉(高純度のでんぷん粉)であり製粉方法が違う。

次に粉になるのは胚乳の残りや胚芽の部分で、そばらしい色や香りがあり、たんぱく質などの栄養価にも富んだ二番粉となる。三番粉になると甘皮の一部も挽き出されてくるから、色も香りも濃く栄養価も高いが、食味は劣る。そして、このような取り分けをしない粉を挽きぐるみと呼ぶ。

そばには、白いさらしなそばから田舎そばまでいろいろあるが、それはソバの実のどの部分の粉を使うかの違いである。

こういう粉の取り分けは江戸時代中期から行われており、一七世紀半ば頃には、
白々と粉が花に似る御膳蕎麦
という句が読まれている。