《連載》虎視眈々 片山虎之助の眼

日本麺類業団体連合会が発行する冊子『麺』の随筆です。

女性に人気のラーメン ベジソバの魅力


第二十五回 片山虎之介

蕎麦、ラーメン、うどんなど、麺料理を供する店では、近年、「女性がひとりでも入りやすい店」というコンセプトの新店が、次々に登場している。

 東京都に住んでいる人の、男女の比率は、いったいどのくらいなのだろう。平成23年1月の統計を調べてみると、総人口1264万6745人のうち、男性は626万9830人。女性は637万6915人で、男性・女性の比率は、ほぼ半々。これほどの数の女性がいるが、麺類店での女性客への対応は、今まで十分だったと言えるだろうか。

 女性客はまず、店が清潔でないと来てくれない。そして雰囲気も重要だ。従業員の接客がきちんとしていて、トイレも清潔でなければいけない。料理のおいしさが大切なのは言うまでもないが、加えてヘルシーな献立を用意することを忘れてはならない。

 ここにきて女性を主要なターゲットとして認識する店が増えてきたことは、女性客にとっても、麺類業界にとっても、喜ばしいことに違いない。

さて、そうした店の一軒が、東京・千代田区平河町にあるラーメン店『ソラノイロ』。2011年6月にオープンしたばかりの店だ。外観は、おしゃれなカフェを思わせる雰囲気。店内は清潔で、明るい内装に仕上げられている。店のスタッフの接客はていねいで、動きも機敏だ。
 この店の人気メニューは、野菜を生かした「ベジソバ」。パプリカの粉末を練り込んだという麺は、きれいなオレンジ色で、もちもちした食感が魅力だ。
 トッピングには軟らかくて食べやすい蒸しキャベツやパプリカ、緑黄色野菜のブロッコリーなども乗せ、スープにはニンジンのピュレを使って、さっぱりした味に仕上げている。単に具材として野菜を乗せるだけではなく、野菜を柱に構築した、まったく新しい発想のラーメンだということができる。

「ベジソバ」は、昼40食、夜40食の限定販売だが、この取材に行った日も、昼の部の定数は完売したという。注文するのは女性客が中心で、男性客にはむしろ、基本メニューの「中華ソバ」が人気だという。こちらは昔から日本人に親しまれている醤油味のラーメンだが、さっぱりした食味と卵黄を練り込んだ優しい口当たりの平麺が特徴だ。小麦粉は全粒粉を使い、食感と味に個性を持たせている。

 店主の宮崎千尋さんは、博多を拠点とするラーメン店『一風堂』で10年10ヶ月の間、修行を積んだ。その経験をもとに、店のネーミングもメニューも、今の時代に相応しいスタイルを考えて創業に踏み切った。

宮崎さんはもともとラーメンが大好きで、15歳のころから食べ歩きをしていた。だから『ソラノイロ』で提供するメニューは、熱心に食べ歩きをしていた自分のような客にも、満足してもらえる味を出したかったという。

 ラーメンのほか、酒も多くの銘柄を揃えている。女性にも気軽に入ってもらい、一杯飲んで、つまんで、締めに麺を味わう。そんな店を宮崎さんは目指している。

現在、『ソラノイロ』を訪れる客は、4〜5割が女性だ。しかもリピーターとして何度も来てくれる。宮崎さんがこんな店を作りたいと念じた思いは、しっかりと客に伝わったといっていいだろう。


ソラノイロ
東京都千代田区平河町1─3─10 ブルービル本館1B
電話03─3263─5460

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