《連載》虎視眈々 片山虎之助の眼

日本麺類業団体連合会が発行する冊子『麺』の随筆です。

生粉打ちの食味をあげる
蕎麦打ち技術


第八十回 片山虎之介

北海道釧路に暮らす方々は、大晦日に年越し蕎麦を食べるが、多くの人が緑色の蕎麦を食べる。そして釧路では、蕎麦は緑色をしているものだと思っている人が多いという。

すべてその源は『竹老園 東家総本店』にある。同店の蕎麦はクロレラを練りこんでいるため、緑色をしている。

東京の「かんだやぶそば」の蕎麦が緑色をしているため、それにならったものだという。

店主の伊藤純司さんは『竹老園 東家総本店』の歴史を、次のように語る。

「私どもの店は明治7年に初代伊藤文平が小樽で蕎麦屋を開いたのが始まりです。最初のころは『やまなか』の屋号で、夜啼きそばを販売したと聞いています。その後、函館に移転し、大火で店を全焼したことがきっかけで、明治45年に釧路に移転しました」

北谷さんは一本棒の打ち方について、次のように言う。昭和25年以降、メニューの内容は、ほとんど変えていない。そのメニューの数々が、今の時代に人気を集めている。先見性に富んだすばらしい内容だと思う。時代を超えて愛され続ける品書きの詳細を、紹介しよう。

『竹老園 東家総本店』の数あるメニューの中で、最も人気のあるのが「かしわそば」だという。

暑い時期も、寒い冬も、平均して注文が多い。

要は、鶏肉を使った温かい蕎麦なのだが、『竹老園 東家総本店』の「かしわそば」の特徴は、若鶏の肉ではなく、成長した鶏の肉を使うところにある。

食べて柔らかいのは若鶏の肉だが、あえて成長した鶏を使う理由は、出汁の旨さにある。若鶏では望めない、しっかりした出汁が、成長した鶏肉からは出るのだ。肉そのものも歯ごたえがあり、噛むほどに旨みが出てきて、これを楽しみに店を訪れる客は多い。

それに並んで人気なのが「無量寿そば」だ。

黒胡麻から抽出した油を使った蕎麦で、美味しいのはもちろんだが、生活習慣病の予防に効果があるといわれるポリフェノールが多く含まれ、健康志向の人からの注文も多い。

そのほかにも卵を練りこんだ「蘭切りそば」や「茶そば」「そば寿司」「かしわぬき」などをコースに仕立てた「竹老園特製品コース」など、定番で注文の安定したメニューが多い。

『竹老園東家総本店』は、基本的にさらしな蕎麦を主とする店だ。さらしな蕎麦は癖がないため、様々な食材と合わせやすい。

北海道で蕎麦店として長い歴史を持つ『竹老園 東家総本店』は、さらしな蕎麦を使い、オリジナリティーに富み、洗練された蕎麦を供している。

その魅力が釧路の人たちにも共感を得て、釧路ばかりか北海道を代表する名店になったのだろう。


竹老園 東家総本店
北海道釧路市柏木町3─ 19
電話 0154─41─6291

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