そばの散歩道

お店紹介

各地の名店

すべて手作りの
美味しさを追求したメニュー

 さいたま市の埼玉大学近くに建つ、シティホテルと見まごうばかりのビルの一階に蕎麦店がある。昭和47年創業の『四季のそば膳 えの本』だ。
 400坪の敷地に、店舗と駐車場、さらには枯山水の日本庭園まで備えたこの店は、豪華だが日本料理店ではなく、紛れもなく蕎麦を供する蕎麦店だ。

 
洗練されたデザインの白いビルは、それだけで目立つ存在だ。店内は広く、ゆったりとくつろげる。大きな明るい窓が、開放感を感じさせる。
 何よりの証拠は、蕎麦つゆの味にある。猪口を手にして、一口、辛汁を味見してみよう。甘、辛、旨味のバランスも見事な完成されたつゆ。しっかり湯煎された深みのある味わいは、蕎麦湯で割っても、いささかもたじろがない。蕎麦つゆを、この高みにまで押し上げることは、蕎麦の専門職でなければできない技だ。
グループなどの予約客に注文の多い「特製御膳コース」。先付、前菜、お造り、茶碗蒸し、煮物、あがり蕎麦、水菓子など。値段により内容が変わる。
ランチタイムの人気メニュー「とり丼膳」。とり丼に、小せいろ、サラダ、味噌汁、香の物がつく。
季節の旬の食材を使った「かきあげ」。写真は、富山湾で揚がったシロエビのかきあげ。
 「売り上げの八割は、昼の時間に集中しています。ご飯ものと組み合わせたランチセットを提供しているのですが、これが人気があって、ランチの時間を狙って、たくさんの方がいらっしゃいます」
 ご飯ものをメニューに載せることは、最初はあまり乗り気ではなかったのだが、提供を始めたところ、注文がどんどん増えて、外すわけにもいかなくなった。お客が求めているものを提供するのが、店の使命なのだから、これで良いのだと、榎本さんは笑う。
「何種類もあるランチセットは、昼以外の時間にも召し上がっていただけるのですが、ランチタイムは300円ほど安くなります。このお得感が、お客様には、うれしいのだと思います」

里芋や人参、ほうれんそう、油揚げなどを具にした「けんちんうどん」。寒い季節には特に注文が多い。
葛のとろみと湯葉は、相性が良い。細切りの蕎麦の繊細な食感が、際立つ美味しさにまとめ上げている。
群馬のコンニャク芋を仕入れて手作りする「自家製さしみコンニャク」。手作りならではの食感と味に人気が集まり、数量限定のメニューだが、あっという間に売り切れる。
 個人客のほかに、グループや宴会の客も多い。月々、40件ほどの予約があり、多くが3,000円から5,000円の「特製御膳コース」を注文するという。
 近隣にファミレスや寿司店などのチェーン店も多いが、榎本さんは、それらは一切、気にならないという。
「自分の仕事を、きちんとしていれば、あとはお客様が判断してくださいます」
 この言葉を口にする裏には、いったいどれほどの努力の積み重ねがあるのだろうか。『四季のそば膳 えの本』の繁盛の秘密を、垣間見た思いがした。

四季のそば膳 えの本

埼玉県さいたま市桜区上大久保189-1

048-852-3049