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第17回 残間里江子さん(プロデューサー)

楽しい人との食事は
至福のときです。

第17回
残間里江子さん
(プロデューサー)

残間 里江子(ざんま りえこ)
1950(昭和25)年宮城県仙台市生まれ。アナウンサー、編集者を経て、映像・出版・文化イベントなどを企画・開催するキャンディッド・コミュニケーションズを設立。今年7月シニア向けの新生活スタイルの提案会社クリエイティブ・シニアを設立して社長に。近著に団塊世代を論じて話題を呼んだ『それでいいのか 蕎麦打ち男』(新潮社)、団塊世代の女性を論じた『モグラ女の逆襲』(日本経済新聞出版社)がある。

「そば打ち男」で
伝えたかったこと

― 数年前に全国そば打ち名人大会に行かれて、『それでいいのか 蕎麦打ち男』を書かれた?

残間 団塊の世代の男たちのこれからを書こうと思い、まわりにそば打ち男が増えて来たのを見て関心を持ちました。会場で日麺連の鵜飼さんに、そば打ちが増えるのをどう思われるかと聞いたら、「そばが打てるからといってそば屋ができるわけではない」と言われ、その言葉にわが意を得たりと思いました。それで本を出したときにお送りしたのがきっかけで、今では親しくさせていただいています。

― そばを食べるのはお好きですか。

残間 好きです。だからこそ、せっかくそばを打つのなら、ただ打って近所に配るだけでは意味がない、どうせやるならもう一歩踏み出すべきではないかと書きました。例えば近所の老人施設に、打ったそばをたとえわずかでもお金を取って卸せば、相手は必ず出来を批評する。それでさらに自分の力が向上して、励みにもなる。最近はそば打ち人口が50万人を超えたようですが、「ありがとう」「ごちそうさま」だけではそれ以上のものにならない。そんな折り、知人が千葉県でそば屋を実際に始めました。退職金の大半をつぎ込んで、妻にも手伝わせずに自分一人で賄えるお店です。格好だけより実際にそば屋をやっているというのは大いに応援したいですね。気になったので食べに行ったらおいしかったし、つまみもみんな自分でつくっていていい感じでした。単にそばを打つのではなく、それをきっかけにこれまでとは違う友達をつくるとか、そばのルーツを世界に求める旅をするとか、外に向かってやれることがあるのではないかと思います。

― 団塊の世代の定年退職が話題になっていますね。

残間 急にリタイアする人は少ないようで、まだ大部分の人が働いています。それでも以前よりは自由時間が増えるわけですから、どうせならささやかでも社会に還元できるようなことをしてほしいですね。ボランティアでもいいしバンドを再結成するのでもいいし。奥さんのためにも夫たちは外へ出て活動した方がいいと思います。

どんなに多忙でも食事は大事

第17回 残間里江子さん(プロデューサー)

― 食べることに特に関心がおありのようですが。

残間 月並みのようですが、楽しい人との食事は至福のときだと思います。年を経るごとに食べることに優る喜びはないとつくづく思います。それなのに実際は仕事の打ち合わせの会食が多く、自分で食事を選択できないよう日常。仕事の会食の場合、65歳以上の方のご招待だと、「女性はフランス料理が好きだろう」と思いこんでいる人が多いようで、フレンチが多いですね。和食というと大体は懐石料理。あれは、夏は鱧と鮎、というように、ほとんど季節でどこへ行っても同じ献立。生意気だと思われるかもしれませんが、私は焼鳥など居酒屋メニューの方が好きなのです。

― もし仕事絡みでなければ、どういう食事をしたいですか。

残間 白いご飯と味噌汁とお漬物と納豆というようなシンプルな和食。私はいつも朝4時半に起きて、母に朝粥、息子にお弁当をつくることから一日が始まります。料理、洗濯、掃除などの「家事」は、仕事とつながっていないという意味で唯一趣味と言えるかもしれません。

― 最近の流行語「もったいない」は、結果として体に悪いと思いますが。

残間 私も、捨てるに忍びなくて、どうしても食べてしまいます(笑)。また、まわりに健康を害している人が増えているので、「おいしく食べられるうちが花」と言い訳して、元気なうちにとつい食べてしまう。昼は比較的自由なので、よくめん類を食べます。そばもうどんもラーメンもパスタも大好きですが、一番多いのはもちろんそばです。お酒は最近はワインよりもウイスキー、日本酒よりも焼酎、蒸留系になっています。

つくる喜び
食べる喜び

― 仙台の料理で現在こだわるものがありますか。

残間 仙台のお雑煮はハゼのだしなんです。それに大根と人参の千切りをたっぷり入れます。わが家は一年中お雑煮をつくっています。ハゼは入手が難しいので鶏肉でだしをとります。また仙台ならどこの家でもつくる五色豆は、大豆とイカと昆布と人参と数の子も、いい材料が手に入ると、お正月でなくてもつくります。

― 早起きしてお弁当をつくったりして、よく体が持ちますね。

残間 それはもう気力(笑)。0時〜1時に就寝して、4時半には起きます。頭に入れなければならない書類など朝早く読みます。原稿執筆は朝早く2〜3時間と限り、今度の『モグラ女の逆襲』も1日何枚と決めて2カ月きっかりで書き上げました。今年は紅生姜を5キロ漬けましたし、山野草の野蕗も3キロ、神奈川の山で採ってきて、醤油とだしと酒だけで煮ました。

― ご自分でそばを打ってみたいと思われることは?

残間 あります。今度、鵜飼さんの教室に行ってみたいと思っています。

― 今、家庭で、食事が楽しみや喜びでなくなっているような気がしますね。

残間 食べないで済むなら錠剤やサプリメントでいいという若い人が増えているそうです。一緒に食べるから家族なんですよね。それが楽しくなくなったり、避けるようになったら、もう家族じゃない。うちでは時々、土日に91歳の母と18歳の息子と、外食をします。最近はモダン寿司や創作料理店などに行って、母の脳を刺激しています。3人で食事しながら、世の中のこと、身の回りのことを話しますが、3人ともお喋りなので、世代が違っても盛り上がります。

(‘07年5月21日、東京青山のキャンディッド・コミュニケーションズでインタビュー)
STUDIO MAX 高橋昌嗣




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