第37回そばの花観察運動に今年は1,067点の作品が集まりました。北は秋田県から南は兵庫県まで12の都府県からの応募がありました。

　新型コロナウイルス感染症が続き、教育活動が制限される中ではありましたが、昨年の応募総数を上回る出品数があったことに感謝申し上げます。本作品展の大きな特徴は希望する学校にそばの花の種を配り、子供たちが、水やりをし、精魂を込めて育てた自分のそばの花を描くことにあります。校外の学習に出かける機会が少ない中、自分たちで育てたそばの花をじっくり観察することができたのではないでしょうか。入選作品は、そばの花を主役に、本来の趣旨である観察画として優れたものを選ばせていただきました。繊細なそばの花、葉、茎に目を向け、細かい色の変化、花や葉の形状を捉え、表現した作品です。発達段階に即して、クレヨン、パステルや色えんぴつ、水彩絵の具と表現に合わせて、いろいろな描画材を使用していました。本年度は原点に立ち返って、そばの花をきちんと見つめて中心にすえ、描いている作品が多く見られました。そばの花を描きながら、発想を膨らませていくことも造形表現としては大切なことですが、題材の趣旨としてはそばの花がスタートです。そばの花とじっくり向き合って、感じた色や形を自由に描かせてあげる環境を、指導者の方が保証するように引き続きお願いします。種から芽が出て、葉が茂り、花が咲き、実がなる過程まで通して観察することができます。その先は実を挽いて、そば粉にして、練って、延ばして、切ってそばになるところまで学習することができれば、食育にもつながります。導入されたGIGAタブレットを活用して、学年によっては商業や地場産業まで目を向けることができるかもしれません。成長の過程を写真に撮っておいて記録として残すこともできます。
　そばの花を育てる体験、しっかりと観て描く活動、自分の作品や、友達の作品を鑑賞して振り返りを行うことによって「そばの花観察運動」が主体的な深い学びとなります。自分が描くものを、土に触れ、水やりをするところから関わる貴重な体験ができるそばの花観察運動に、次年度も、より多くの学校が参加してくれることを願います。

関東甲信越静地区造形教育連合

元理事長　本間　基史