そばの散歩道

そばのあいうえお

ルチン

そばが高血圧によいといわれるのは、そば粉に「ルチン」が多く含まれているからだ。「ルチン」は、今注目されている栄養成分の一つで、かつてはビタミンPとよばれていたビタミン類である。毛細血管の働きを安定、強化させ、脳出血や出血性の病気の予防効果があるといわれている。「ルチン」には、弾力性のなくなった、破れやすくなった血管を新しい弾力性のある血管に取り替える働きがあり、血液をスムーズに流す作用がある。

毛細血管を強化するためには一日二〇ミリグラムの摂取が目安で、茹で上げたそば切り一〇〇グラムの中には一〇ミリグラムのルチンが含有されるので、一人前(約二〇〇グラム)のそばを毎日食べればよい。また、単独よりもビタミンCと一緒に取ると効果が強めれらる。

「ルチン」は水溶性のため、茹でている間にどんどん茹で湯の中に溶け出してしまう。そば湯はビタミン類の貴重な補給源でもある。そば湯を飲む風習は、信州で始まり、それが江戸に広まったとされている。年代は明らかでないが、元禄一〇年(一六九七年)刊といわれる『本朝食艦』はそば湯を取り上げ、そばを食べたあとにこの湯を飲まないと必ず病にかかる、とも解釈される内容を書き記している。

参考文献「そば・うどん百味百題」「そば 至宝の伝統食(2)」「蕎麦辞典」