そばの散歩道

お店紹介

各地の名店

お多福 松任バイパス店

 金沢における麺類店の始祖である『加登長総本店』から独立した、関戸二郎氏の店で働いていた桐木平次郎氏が『お多福総本店』を開業したのは1909(明治43)年。この本店から始まった『お多福』は石川県を中心に北陸地方では良く知られた麺類店ののれんであり、現在も約20店舗が営業している。『お多福 松任バイパス店』は店名の通り、北陸地方の大動脈である国道8号線のバイパス沿いに店を構える。
  「1965(昭和40)年に創業した時は金沢市内に店があったのですが、立ち退きになり、元々洋食店であった現在の場所に、1976(昭和51)年に移転してきました。現在の店舗は26年ほど前に建て替えたものです。『お多福』も店によって手打ちそばを提供するなど、各店舗で新しいものを取り入れていますが、私の店は伝統的なメニューで営業しています」と話すのは『お多福 松任バイパス店』の2代目店主・新保浩一さんだ。

『お多福 松任バイパス店』の店舗内外観。
 新保さんが話す通り、品書きには石川県では定番の「いなりうどん」をはじめ、麺類や定食などが品書きに並ぶ。地域柄うどんの注文が多く、夏場になっても半分はうどんが出るという。以前仕入れていた金沢市内の製麺会社が廃業し、現在は小松市内の会社から仕入れるうどんは細打ちだ。誰もが認知している品物が並ぶメニューを見ると、郷土料理である「治部煮」をアレンジした「治部煮うどん」や、あまり聞きなれない「ジャジャ麺」などが顔をのぞかせる。通常鴨肉を使用する「治部煮」だが、『お多福 松任バイパス店』では牛肉を使い、うどんとの相性を考えている。通常の肉うどんとは異なる味わいだ。「ジャジャ麺」は、1955(昭和30)年に金沢で全国麺類飲食業者大会が開催された時に作られた名物メニューで、他の『お多福』でも提供している店舗がある。金沢らしい甘い風味と具だく
さんの焼きそばだ。
 店の近くにある「公立松任石川中央病院」は大規模な病院で、関係者の当店の利用も多い。そのため、感染症対策は引き続き重視している。交通量の多いバイパスゆえ、チェーン店をはじめとする飲食店は多いが、安心感のある味と、細かい対応ができることは、チェーン店ではできないことでもある。
「ジャジャ麺」は岩手県で提供されている「じゃじゃ麺」とは全く異なる独特の品だ。郷土料理をアレンジした「治部煮うどん」は、石川県のうどんの特徴である出汁の旨みも活きている。
<店舗ホームページ>https://ishikawa-menrui.com/shops/84

お多福 松任バイパス店

石川県白山市村井町685

076-276-3066