そばの散歩道

お店紹介

各地の名店

神奈川県小田原市『そば季寄 季作久』

 ホームページの店舗案内に「眼前に広がる息をのむ絶景に、しばし時を忘れる。 悠久を思わせるその美しき水平線を映し出す光景はまるで、一枚の絵画のよう」と記されている『そば季寄 季作久』は、その案内の通り、海を一望する高台に店を構える。一見すると、リゾート地にたたずむレストランのようだ。店主・川口久則さんは「そば店には見えないと思います。海外にいた経験もあるので、当時の建築なども参考にして店づくりをしました。上から見ると魚の形になっています」と話す。航空写真で見ると確かに魚の形をしている。店内には窓枠がなく海を眺めることができるカウンター席、壁一面がガラス貼りの小上がり、コロナ禍で始めたテラス席など、景色を楽しみながら食事ができる造りになっている。イスはイギリスから取り寄せたアンティーク、テーブルはオーダーメイドで最近新調した。開店した約30年前は奇抜な店舗設計であったが、今も古さを感じない。

『そば季寄 季作久』』の店舗外観。
 もともと川口さんの両親が平塚で2店舗のそば店を経営しており、事業承継に際して、現在地に新しい店舗を構えることになった。白めで弾力のあるそばとつゆは先代から基本を受け継いでいるが、川口さんは、早くから息子の川口晃嗣さんへの承継を考え、新たな店の看板となる商品の開発を考えた。それが「極・鴨だしせいろ」である。これは「鴨せいろ」の鴨肉が固く、残されていたお客様の様子をヒントに、鴨を低温調理で柔らかく仕上げ、その際に出た出汁をつゆに使うという方法で川口さんと晃嗣で考え出した、今や店一番の人気商品だ。場所柄、魚料理も食べたいというお客様に応え、地元漁港で水揚げされた魚も提供する。
 川口さんは「色々と言いたいことはあっても我慢しながら息子に店を任せるようにしています。事業承継は早くから始めた方が良いと思います。私も父から店を受け継いで、今の店を始めて5年は様々なことを懸命にやりました。お蔭様でお客様の口コミなどで店が認知され、多くのお客様にお越しいただけるまでになりました。これからは息子が店をどうやっていくのか、私は「代々初代」だと思っていますので、新しいことにチャレンジしてほしいと考えています」と、経営に関する方針を話してくれた。
「極・鴨だしせいろ」は店の人気ナンバーワンメニュー。こだわりのたれと低温調理で仕上げた鴨肉を別添えにし、汁には鴨のだしと鴨つくねを入れている。昼は「宴(えん)」、夜は「懐(かい)」「蕎麦懐石」 と予約でコースメニューも提供する。
<店舗インスタグラム>https://www.instagram.com/kisaku_soba/?hl=ja

そば季寄 季作久

神奈川県小田原市江之浦133-6

0465-28-1020