そばの散歩道

お店紹介

各地の名店

善光寺門前は
そば店が切磋琢磨

 「信州そば」として、そばの文化が根付く長野県、長野市の発展の礎となった善光寺門前には、現在も十数軒のそば店が店を連ね、切磋琢磨しながらそば文化を育み、守ってきた。大正7年の創業以来、100年以上にわたり、その一角を担ってきたのが『尾張屋』だ。「善光寺山門 門前そば」を名乗る通り、善光寺の山門近く大勧進の側らに店を構える。

周囲の風景を壊さないように配慮された外観と店内。
サイドメニューの「玉子焼き」「そば茶プリン」は鈴木さんの代になってから始めた。
 3代目店主・鈴木健太さんは「以前は旅館に勤めていたのですが、先代夫妻に後継者がなく、いとこの私が店の後を継ぐことになりました。創業者が愛知県出身だったので『尾張屋』の屋号になったそうです。創業当時は今の場所から5軒ほど離れた場所で、うどんを売る傍ら製麺業も営んでいたようですが、長野はそば文化なので、そばを扱うようになったと聞いています」と、店の歴史を話してくれた。
 来店するお客様は、善光寺を訪れた参拝客・観光客が多く、せっかく長野に来たのだからと、そば自体をシンプルに楽しみたいお客様が多い。それゆえ、売れ筋メニューは「ざるそば」「天ざるそば」「なめこそば」「とろろそば」などだ。全体的なメニューの数は、先代の夫人が1人で店を切り盛りするようになった際に絞り、現在も人手の問題もあるので品数を増やさず、季節により舞茸の天ぷらなどを提供している。また、100円で注文できるサイドメニュー「玉子焼き」と「そば茶プリン」もワンコインとは思えないサービスメニューで、好評を得ている。最近増加している外国人観光客は、意外に丼物の注文が多いという。
シンプルな「ざるそば」。そば自体を素直に味わいたい。
「天ざるそば」も売れ筋の1つ。丁寧な仕事ぶりがわかる。
大きななめこと鶏肉が入る「なめこそば」は具だくさんだ。
 そばは県内産を中心に北海道産などをブレンドし、二八の手打ちで打つ。そばの風味とのど越しの良さを両立されたそばを味わうにはやはりシンプルな品物の方が良いだろう。しかしながら、鈴木さん自身はもっと色々と品揃えをした方が良いのではと迷うこともあるという。
 善光寺といえば7年(数え年)に1度の「御開帳」が一大行事だ。前回は2015(平成27)年に開催され、次回は再来年の2021(令和3)年に行われる。「御開帳の時は朝から夕方まで忙しい日が続きます。次回は東京オリンピック・パラリンピックの翌年ですが、多くの人に善光寺を訪れてもらいたいですね」と鈴木さんは話す。日本のみならず、世界中に、歴史ある善光寺とその門前のそば文化を知ってもらう良い機会となることを願いたい。
<店舗ホームページ>http://sp.raqmo.com/owariya/

尾張屋

長野県長野市元善町486

026-232-5347