そばの散歩道

そばの花観察運動

第39回 そばの花観察運動

 一般社団法人日本麺類業団体連合・全国麺類生活衛生同業組合連合会が主催する「第39回そばの花観察運動」は、全国の小学校の子どもたちが育てたそばの花をさまざまな表現で描いた写生画が、1,116作品寄せられました。
 2023年12月17日、本間基史先生(関東甲信越静地区造形教育連合元理事長)、平田耕介先生(東京都図画工作研究会前理事長)による審査の結果、最優秀賞1点、優秀賞2点、努力賞10点、日麺連賞10点、そして参加校・応募作品数を高めることを主旨として、今年も佳作100点が選ばれました。
 本事業の実施にあたっては、一般財団法人製粉振興会様、製粉協会様よりご協賛をいただいております。

最優秀賞 優秀賞 努力賞 日麺連賞 佳作

最優秀賞

福島県白河市立白川第三小学校 5年

吉田 花蓮

 大きく描かれたそばの花に、スポットライトがあたっているような、幻想的な表し方が見る人の心を掴む素敵な作品です。
 筆遣いや絵の具の塗り重ねなど、明暗や色彩の感じをよく考えながら表したことが伝わってきました。全体の色合いから絵に奥行きや深まりを感じます。また、輪郭線を表さないことで、作品に優しい印象を与えています。今までにない斬新な作品となりました。

優秀賞

宮城県登米市立北方小学校 2年

久永 美結

   晴天の中、元気に咲いているそばの花が、明るい気持ちにさせてくれました。絵の具の白を他の色を混ぜながら、混色している工夫がよいですね。よく見ると、背景は、同じ空色でも画面の下と上では違っているのです。また、花の色も白とピンクで表していますが、微妙に濃さや色合いが違うのです。そんな、色の表し方がこの作品に広がり与えているのでしょう。
 少しかすれた感じに描かれた白い雲、緑や黄緑で描かれた、茎や葉の色合いが、絵のよさをひき立たせています。

静岡県静岡市立長田北小学校 3年

薮下 晴斗

  広大な大地に、そばの花が一斉に咲いている、そんな場面を想像しました。まず、全体を淡い黄緑で塗った後に、細筆で一本一本丁寧に、そばの花を描いていった姿が感じられました。
 花びらやおしべめしべ、葉の感じなど、描く手順や筆の遣い方をよく考えて取り組んだのではないでしょうか。繊細な筆遣いなのに、画面いっぱいにそばの花を表したことで、作品に力強さも感じます。

努力賞

秋田県横手市立大森小学校 5年

備前 蓮凰

福島県白河市立白河第三小学校 5年

佐川 蓮椛

東京都台東区立富士小学校 3年

太田原 杏

東京都葛飾区立東柴又小学校 6年

舩田 結羽

東京都東大和市立第九小学校 3年

窪田 日向乃

石川県能登町立松波小学校 6年

藤原 稟花

福井県福井市麻生津小学校 2年

前田 睦稀

福井県福井市美山啓明小学校 4年

川端 乃愛

長野県長野市立戸隠小学校 2年

西田 侑生

日麺連賞

宮城県登米市立北方小学校 5年

菅原 竣太

秋田県大館市立城西小学校 1年

畠山 心陽

東京都東大和市立第九小学校 4年

河合 和香

岐阜県大垣市立時小学校 3年

大橋 明眞

岐阜県大垣市立時小学校 4年

近藤 花帆

福井県福井市啓蒙小学校 6年

宮下 龍星

福井県福井市日之出小学校 1年

藤本 菜緒

福井県福井市宝永小学校 2年

大谷 咲葵

福井県福井市美山啓明小学校 1年

夏目 來瑠美

佳作

宮城県
登米市立北方小学校
2年 菅野 芽衣
2年 田代 夏純
2年 三浦 菫
2年 三浦 妃愛
秋田県
秋田市立土崎小学校
4年 工藤 香穂
秋田県
大館市立城西小学校
5年 佐々木 歩未
3年 小林 虎大
2年 佐々木 源治
山形県
上山市立宮川小学校
3年 木村 千花夏
福島県
白河市立白河第一小学校
5年 我妻 璃音
5年 太田 明海
5年 塚田 蓮斗
福島県
白河市立白河第三小学校
5年 齋藤 柚
5年 内田 結菜
5年 大森 琉華
5年 齋藤 瑠香
5年 塩田 結菜
5年 長澤 莉央
5年 邊見 葵巴
東京都
台東区立富士小学校
3年 井田 翔介
3年 関 春登
3年 髙橋 杏
3年 吉川 綾乃
3年 吉田 瑛海
東京都
葛飾区立葛飾小学校
3年 礒 桜子
東京都
葛飾区立東柴又小学校
6年 長島 由芽
東京都
東大和市立第四小学校
2年 今井 駈
2年 永島 怜奈
2年 佐藤 結心
2年 田村 多喜
2年 藤原 一恵
東京都
東大和市立第九小学校
6年 根本 麗瑠
5年 木下 晄成
2年 松原 颯星
1年 田中 真奈美
石川県
能登町立松波小学校
6年 表 莉愛
6年 儀谷 花
6年 福田 哲太
6年 出島 希純
6年 向坂 心佑
6年 横山 心花
2年 土川 朔人
2年 舛谷 木里花
福井県
福井市麻生津小学校
2年 大見 琴羽
2年 川野 大雅
2年 木村 晴人
2年 中村 理玖
2年 古谷 咲和
2年 水野 杏咲
福井県
福井市啓蒙小学校
2年 増田 桃
2年 宮越 さくら
2年 村瀬 梢
2年 山下 優花
福井県
福井市日之出小学校
2年 廣田 漣
1年 黒川 葉月
1年 林田 和叶
1年 前川 絢子
1年 河崎 俊成
福井県
福井市宝永小学校
2年 宇賀治 佳吾
2年 前田 璃乃
2年 枡谷 琉生
福井県
福井市美山啓明小学校

   

6年 川端 颯真
5年 川崎 結優
5年 前田 蒼茉
3年 宮川 真綾
3年 横山 悠大
2年 中村 美晴
1年 佐々木 新太
福井県
あわら市細呂木小学校
3年 中嶋 彩喜
3年 毛利 絆兵
長野県
長野市立戸隠小学校
3年 松本 実沙紀
3年 宮川 双羽
3年 宮下 美来
2年 岡澤 廿莉
2年 堀篭 丈太郎
1年 小渕 大士
静岡県
静岡市立西奈南小学校
5年 芹沢 優希
3年 大塚 奏美
2年 佐野 愛夏
1年 大塚 奏美
静岡県
静岡市立長田北小学校
3年 朝比奈 こう
3年 植田 澪
3年 カストリオ レオナ イグナシオ
3年 加藤 さくら
3年 塩津 奏穂
3年 芝原 そら
3年 白鳥 優羽
3年 杉山 智哉
3年 髙草木 結
3年 長岡 希咲
3年 古牧 鈴
3年 藪下 暁斗
岐阜県
大垣市立時小学校
3年 近澤 凛
大阪府
大阪市立福島小学校
2年 霜竹 翠
兵庫県
丹波市立青垣小学校
3年 澤瀉 りこ

「第39回そばの花観察運動」
作品審査総評

 第39回そばの花観察運動に今年は1,116点の作品が集まりました。北は秋田県から南は兵庫県まで13の都府県からの応募がありました。

 教育活動も通常に近い形に戻りました。昨年より出品数が増え、参加都府県が増えてきたことに感謝申し上げます。本作品展の大きな特徴は希望する学校にそばの花の種を配り、子供たちが、水やりをし、精魂を込めて育てた自分のそばの花を描くことにあります。自分たちで育てたそばの花をじっくり観察することは特別な意味があります。入選作品は、今回もそばの花を主役に、本来の趣旨である観察画として優れたものを選ばせていただきました。繊細なそばの花、葉、茎に目を向け、細かい色の変化、花や葉の形状を捉え、表現した作品です。一人一台タブレットが学校に導入され、絵画の表現にも活用されるようになってきました。いろいろな表現の一助として、特に発想・構想の場面で使われています。
 本作品は子供の視点でそばの花を大きく描くのか、小さく描くのか、まわりの様子、背景をどのように取り組むのか自己決定して、構図も自分で決めて描いています。そして、実物を観察しながら描いています。タブレットで検索した資料の写真をみて描くのとは違います。同じ構図の作品が学級ごと、学校ごとで揃っていることはないはずです。学習指導要領が改定され、どの教科でも個別最適化が言われる中、造形活動においては特に一人一人の表現が尊重されなければいけません。観察画でも、子供が興味を持ったのが、花や葉や茎の色なのか、形なのか、花の咲く情景なのか指導者は捉える必要があります。決して、指導者のイメージの色調や混色方法を押し付けてはいけません。そばの花とじっくり向き合って、感じた色や形を自由に描かせてあげる環境を、指導者の方が保証するように引き続きお願いします。今回は従来見られなかった個性的な表現が多くあり、審査員もドキドキしながら、感嘆の声をあげて審査に臨むことができました。
 改めて子供たちの可能性を感じることができ、造形教育に関わるものとしてうれしく思いました。そばの花を育てるには、水やりや雑草抜きなど、土に触れ、か細い花を大切に育てなければいけません。この体験が絵を描く上でも大切になっています。どの作品からも、花を見つめる子供たちの優しい視線が伝わってきました。豊かな表現活動の一助となっています。次年度も、より多くの学校が参加してくれることを願います。

関東甲信越静地区造形教育連合

元理事長 本間 基史