そばの散歩道

お店紹介

各地の名店

日常の中に少し贅沢な時間を
提供する店

午後2時を回ったというのに客足が絶えない、しかもほとんどが女性客だ。「うちは女性客が8割です」と話すのは、『粋心庵 八幡』の主人・菅野裕輔さん。菅野さんは、学校卒業後に母親の関係で、『八幡』という食堂に勤めた。この屋号を引き継いで現在地で開店したのが昭和49年、平成7年に店を建て替えた。東日本大震災後は、水道が使えたことで2日後から店を再開した。
長男・幸輔さんは別の場所で『粋蕎庵 八幡』というそば店を経営、三男・耕之輔さんは震災を契機に、北海道で洋菓子を学び、店に隣接して『プリン工房はちまん』を3年前に開店した。北海道の有名店にも負けないスイーツも新たな店の看板になりつつある。

店舗入り口の左側に『プリン工房 はちまん』がある。店内はゆったりとした造り。
『粋心庵 八幡』の品書きを見ると、比較的強気の価格設定が目に入る。それでもお客様が多いのは、価格以上に満足しているからに他ならない。「店の周囲は住宅地ですが、比較的生活に余裕のある方が多いです。週末は家族連れも多い」という客層には、価格が高めであっても、満足感のあるものを求めるというニーズがある。
春・夏の各2ヶ月、福島市商工会が配布するクーポン(1,000円以上の内容のものが税込み1,000円で食べられる)で提供する「プレミアム海鮮丼」は、新鮮な刺身を使う海鮮丼にそば、自家製の「胡麻寄せ豆腐」などにデザートもつくサービス品、店を知る良いきっかけにもなる。クーポンの配布時期には1日80人ほどが利用する。女性客には、色々なものを少しずつ食べたいという「姫会席膳」が好評で、会食にも利用されている。品数の多いメニューは、当然手間もかかるが、それぞれの料理に手をかけていることがわかる。
そばは、製粉会社から仕入れるそば粉2種類に金臼で自家製粉するそば粉を加え、3種類をブレンドする。当地では十割そばを提供する店が多い中、外二八で打つ。これは製麺工程を考えてのことだが、そば粉の味わいが強いので、それほどつなぎの味を感じることはない。当初は勤めていた店同様に機械製麺だったが、組合の先輩に手打ちそばの技術を学んだ。自店の名前を付けた「八幡せいろ」(もりそば)を始め、オーソドックスな品物が多いのは、そば自体の味がしっかりとしているからだ。
色々な味を楽しめる「姫会席膳」は女性向けの商品だが、ボリュームもある。デザートのアイスクリームとコーヒーがつく。
福島市商工会配布のクーポンで提供している「プレミアム海鮮丼」。料理の1つ1つに手を抜かないという、当店の姿勢が表れている。
3日間かけて煮込むにしんを使った「冷し鰊そば」。にしんは酒肴として単品で提供する他、宴会料理の一品としても好評だ。
店内は天井が高く広々としている。席はテーブル・掘りごたつ、座敷にもイス・テーブルを設置している。全て合わせると60席ほどになり、余裕がある。座敷には仕切りがあり、人数に応じて調節でき、それぞれの席も全て見渡せないようになっているので、落ち着いて食事をすることができる。
満足感の大きいメニューとゆとりのある空間、日常の中に少し贅沢な時間を提供すること、これが多くのお客様を引き付ける要因だろう。

粋心庵 八幡

福島県福島市森合中谷地9-31

024-557-0555